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JAMCO オンライン国際シンポジウム

第29回 JAMCOオンライン国際シンポジウム

2021年1月~2021年3月

教育支援のための放送や新しいメディアの可能性~コロナ危機の中で~

読者からのコメント(1)

西蔭浩子
大正大学

 「私的遠隔教育体験論」を拝読し、2020年のコロナ禍で大学の教育現場に突然吹き荒れた遠隔教育を振り返り、今後の大学教育に残された課題について考える。

 私は、専任教師として遠隔教育をサポートする立場と、非常勤としてサポートを受ける2つの立場を体験した。準備期間も限られた中で突然スタートした遠隔教育は、いずれの立場においても教育環境を整えることに多くの時間が割かれ、試行錯誤の連続であった。

 まず、本務校では、英語全般のコーディネートを担当した立場から、英語授業のシステム作りが喫緊の課題となった。1年生と2年生の英語クラスは初級・中級・上級と習熟度別に分かれており、使用テキストも異なるために、各レベルに合わせた動画を制作して、複数の教員が担当する授業の質保証を目指す方法を選択した。オンディマンド制の授業のために、主任教員たちが100分授業用に10分前後の映像を3本程作り、春学期秋学期制作した。学生は各自映像を観て、与えられた課題に取り組み、担当教員が提出された課題をチェックするという授業の流れであった。主任教員は英語教育の専門家ではあっても、映像コンテンツ制作は素人のため、非常事態を乗り切ることはできたが、映像教材としての質には問題が残った。今後の遠隔教育に備えるためには、青木氏が提案している「大学における教育コンテンツ制作支援システム」の構築が必須である。

 次に、サポートを受ける立場だった非常勤先のシステムについて触れる。本務校とはプラットフォームが異なっていたために、準備段階でぶつかる諸問題に四苦八苦していた。しかし、遠隔授業が決定すると同時に「e-learning教育運営委員会」が立ち上がり、「Zoomに関すること」「Classroomに関すること」「遠隔授業のコンテンツに関すること」の3つのヘルプデスクが開設され、定期的にオンライン勉強会も開催された。こうしたサポート体制は、遠隔教育に不慣れな教員にとってはまさに地獄で仏の存在で、孤立しないで教育方法を考える貴重な機会となった。すべての大学がこうしたサポート体制を整えられたわけではないが、今後を見据えた準備が望まれる。

 各教員が体験した「遠隔教育体験論」を広く共有することが、新しい教材の開発や教育方法の改善に繋がっていくであろう。

西蔭浩子

大正大学

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