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JAMCO オンライン国際シンポジウム

第19回 JAMCOオンライン国際シンポジウム

2010年2月1日~2月28日

ドラマ映像の国際交流

読者からのコメント(1)

村瀬 眞文
立教大学

 今回のJAMCOオンライン国際シンポジウムは、日本のテレビドラマが国際展開をするうえで考えておかなければならない多くの課題が指摘されている。
 テレビドラマは、制作国の文化を色濃く反映し、その国の視聴者の共感を得ると同時に、歴史的に古くはアメリカのテレビ番組、最近では韓国作品にみられるように、国境を越える市場価値を持っている。
 総括討議でも指摘されているが、国内での視聴を前提に制作されてきた日本のテレビドラマには、国際的な市場戦略性の構造的弱さがあることは否定できない。
 この点に関して、27か国で構成されるEU(欧州連合)が、文化の多様性を維持しつつ国際市場で流通できる映像作品の制作に力を入れていることに注目したい。
 EUは、各国共通の制度的努力目標として、テレビ放送事業者のドラマやドキュメンタリー番組の送信時間の過半数をヨーロッパ制作作品とすること、また、この種の番組の送信時間か制作予算の10%を放送事業者から独立した制作者の作品とするよう求めている。さらにEUは、これらの共通制度を補完する形で、映像作品の国際共同制作・流通を支援するMEDIA計画を置いている。MEDIA計画は、脚本家の育成や経営者の研修から、テレビ番組・映画制作者への助成、字幕・吹き替えの制作を含む映像作品流通支援に至るまで、幅広い領域で資金提供を行い、2009年にはEU以外の国との協力関係を築く体制も整えている。
 EUがヨーロッパ制作番組の編成に関する共通原則を定めたのは1989年、MEDIA計画が発足したのは91年である。国際的な番組流通を政策的に制約するのではなく、制作・流通力を強化する形で国際市場での地位の確保を目指し始めてから、およそ20年。「ヨーロッパの中の国境を越えて流通する映画作品の10本のうち9本はMEDIA計画の支援を受けている」とまでいわれるようになった。2009年のカンヌ映画祭の受賞作品の3作品はMEDIA計画の支援を受けたものだった。
 テレビ番組・映画作品の国際流通には、地道で息が長い国家的戦略が必要である。

村瀬 眞文

立教大学

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