第16回 JAMCOオンライン国際シンポジウム
2007年1月~3月
テレビで形成される外国のイメージ~中国、韓国、日本
[講演者(1)] 中国のテレビの伝える日本および諸外国イメージ
昨年のシンポジウムで、「中国の反日とテレビの役割」というタイトルで、2005年の春に中国各地で起きた一連の反日抗議デモにおける中国のテレビの果たす役割について考察した。その分析の結果から、以下の傾向を指摘した。まず、中国のテレビが、新聞やインターネットなど他のメディアと比べて、政府からの規制をより厳しく受けたため、日本に関する報道姿勢が比較的慎重的であって、センセーショナルな報道が少なく、反日デモに関しては、テレビがむしろ抑制的役割を果たした。他方、2005年が戦後60周年に当たる年だったので、、中国のテレビが数多くの戦争映画・番組を放送し、戦争の知らない若い世代に、日本について「残虐」と「侵略」のイメージを植えつけ、結果として、人々の対日感情を一層悪化させたことが否定できない。
反日デモ以降から、中国政府が、メディアに対して、日本に関する報道姿勢の是正を指導した。これは、中国のテレビの伝える日本情報・イメージについて、どのような影響を与えたのか、また、中国のテレビの伝える日本イメージが、他の国々のイメージと比較して、どのような特徴を持っているのか、本文は2006年1月から8月までの間に、中国中央テレビ(CCTV)の関連番組に対する内容分析に基づいて明らかにしようとする。
一、「新聞聯播」(National News)の国際報道
CCTVの「新聞聯播」(National News、毎日19:00-19:30放送)が中国で最も影響力のあるニュース番組である。
2006年1-8月の8ヶ月間、「新聞聯播」が放映した国際ニュースが合計1720本である。そのうち、アメリカに関するニュースが最も多く、162本に達し、国際報道の1割近くを占めている。次はロシアの124本で、日本は68本で、3番目である。続いて、ドイツ、イギリス、韓国、フランスの順である。
月別に見てみると、日本の場合、1月、4月、8月の報道本数が10本を越えたが、それ以外は、月5本前後が多い。これは例年並の数字である。
各国の報道内容を大きく「国内関連」と「国際関連」の2種類に分けてみて見ると、アメリカと日本の場合、いずれも「国内関連」報道の比率が「国際関連」報道より1割多くなるが、ロシアの場合、「国際関連」報道の比率は7割に達し、圧倒的に多い。
アメリカの「国内関連」報道のなか、スペースシャトルに関する報道が11本、テロ問題6本、「ブッシュ米大統領が国家安全保障局(NSA)による裁判所の令状なしの国内盗聴を認めた問題が5本である。それ以外に、自然災害、企業関連報道、市場動向、科学技術などさまざまである。日本の「国内関連」報道について、アニメ国際展示会、オーム真理教、新型ロボット、電車事故、地震予告システムなどである。
「国際報道」について、さらに、「中国関連」の報道と「中国以外の国」に関連する報道を分けてみると、ロシアの場合、中国との政治交流などに関する報道の比率が最も高く、4割を超えている。その背景に、今年が中ロ友好交流年で、イベントや指導者相互訪問が多いことがある。
アメリカの場合、中国関連報道が2割で、そのうち、胡濤訪米に関する報道が12本に達している。日本報道のなかで、中国との交流に関す報道が10本程度で、全体15%を占め、アメリカやロシアと比べれば、その比率が最も低い。これは、首脳外交が中断した両国関係の厳しい現状を反映したものである。
中国以外の国との外交に関連する報道の比率について、3各国はともに2割台である。アメリカの場合、15本の報道がイラク問題をめぐるものである。ロシアの場合、ウクライナとの間に天然ガスをめぐる摩擦に関する報道が6本に達している。日本の場合、韓国との間に竹島(独島)問題をめぐる摩擦に関する報道が5本に達し、最も多い。
各国に対する報道姿勢について、基本的には客観報道が中心だが、日本の場合、小泉首相が靖国神社参拝を中心とする歴史認識問題に関する報道は、合計14本に達し、そのうち、10本が8月に小泉首相が6回目の靖国参拝した前後に集中した。これらの報道の多くが日本に対して批判的である。
二、報道特集・ドキュメンタリー番組
2006年1-8月の間に、CCTVの主要報道番組(「焦点訪談」、「新聞会客庁」、「面対面」、「国際観察」)で放送された外国関連の特集が合計24回で、そのうち、アメリカ関連は7回、最も多い。次はロシアの4回で、日本とイランはともに2回である。そのほかに、イギリス、イスラエル、タイ、イタリア、インドネシア、ベトナム、エジプトなどはいずれも1回である。
日本に関する特集は、3月30日の「面対面」に放送された「中国侵略の日本兵士―本多利太郎」と6月27の「新聞会客庁」に放送された「日本前首相村山富市インタビュー」の二つであるが、いずれも歴史問題に焦点を当てるテーマである。
昨年の1-6月の間に、CCTVが日本関連特集を10回ほど放送した。そのうち、5回が日本の歴史認識問題に関連する内容で、それ以外に、中日関係関連2回、文化交流は1回、日韓領土問題が1回である。2006年にはいってから、CCTVの特集番組で日本問題が大きな焦点ではなくなることがわかる。
一方、CCTVの「人物」というドキュメンタリー番組で、日本人を主人公として描写するドキュメンタリーが放送されした。そのほとんどは日本からの輸入番組であるが、日本人を描いたドキュメンタリー番組はこれほど集中的に放送されたことは、中国のテレビの歴史上ではじめてのことである。
「人物」が2006年10月3日1-8月の間に、外国人を主人公とする番組を42本放送した。そのうち、日本とイギリスの番組は最も多く、ともに11回であった。次はアメリカの9回で、韓国とイタリアは、それぞれ4回と2回である。
日本関連の番組のなか、「著名な映画監督―小津安二郎」など文化人をとりあげた例もあるが、その中心になったには、NHKの「プロジェクトX」の番組で、合計8本である。
「プロジェクトX」番組が中国で放送されることが、中国人の日本・日本人理解に有益な情報を提供した。それが実現した背景に、中国側の意向もあるが、経済広報センター(KKC)をはじめとする日本側が積極的に支援したことがある。
「人物」で放送された外国の番組のなか、日本以外に、イギリスとアメリカのものも少なくない。イギリスの場合、「イギリスで人気モデル – Kate・Moss」「イギリス調理業界で最も眩しいアイドル – Jamie・Oliver」「美人グルメ」「イングランドチームのキャプテン – Beckham・David」「イングランドチームの監督 – Sven・Goran・Eriksson」「Mr.Bean – Rowan・Atkinson」「イギリスのインテリ映画監督 – Ken・Loach」「イギリスのハーフバック映画監督 – Peper・Greenaway」「踊り人生-Marion・Brown」「“脳マジシャン” – Tony・Buzan」「ラテン踊りの名人 – Marion・Bromn」など合計11本の番組が放送された。
アメリカの場合、「世界で有名な俳優 – Johnny・Depp」「ハリウッド俳優 – Angelina・Jolie」「007の父 – Ian・Fleming」「Googleの創始者 – Sergey・BrinとLarry・Page」「女権主義者 – Eve・Ensler」「米国伝奇的なボス – Howard・Hughes」「スーパーマン – Christopher・Reeve」「米国映画業界名人 – Robert・Redford」など合計8本である。
日本の番組は企業人が中心でるのに対し、イギリスとアメリカの番組は、芸能人と有名人が多い。
三、外国のテレビドラマ
20世紀の80年代と90年代に、中国で2回日本のドラマブームがあった。1回目では、「赤いシリーズ」(山口百恵が出演)と「おしん」などが中国で国民的人気を得た。2回目では、「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」「ひとつ屋根の下」などが、若者を中心に、高い人気を得た。
21世紀に入ってから、話題になった日本のドラマがほとんどなかった。むしろ、韓国のドラマが絶大の人気を得て、いわゆる「韓流ブーム」が続いた。
2006年に入ってから、この状況は少し変わった。3月18日に、フジテレビのドラマ「白い巨塔」がCCTVによって放送されはじめた。このドラマは山崎豊子の原作で、唐沢寿明、江口洋介、黒木瞳、矢田亜希子、水野真紀、伊藤英明、石坂浩二など有名な俳優が出演したものである。放送されてから人気が急速に高まり、全国視聴率は4%近くに達し、同じ放送時間帯のトップとなった。その成功を受けて、テレビ関係者から、今後さらに多くの日本ドラマを導入すると言われた。同じ時期に、湖南テレビが「おしん」を再編集・放送し、これも大きな成功を収めた。これから三回目の日本ドラマブームが起きると関係者が予測している。
「白い巨塔」のほか、CCTVのドラマチャンネルが2006年1-8月の間に、「ムコ殿」「クロサギ」「トップキャスター」「砂の器」「真夏のクリスマス」「鬼嫁日記」「富豪刑事デラックス」「夫婦」「結婚できない男」など17種類の日本ドラマを放映した。 CCTVのドラマチャンネルが1999年5月3日から放送を開始したのであるが、放映したドラマのなか、国産ドラマ、海外から輸入するドラマがほぼ半々である。統計した結果、2006年1-8月に放映したドラマは合計204種類で、そのうち、中国製が105種類、外国製が99種類である。
外国のドラマの中、韓国ドラマが31種類で、最も多い。かつての勢いがなくなったが、「韓流」人気が依然として健在していることが伺える。日本は18種類で、第2位である。アメリカは17種類で3番目である。この3カ国の作品だけは外国のドラマの3分の2を占める。
四、まとめ
以上の考察から、中国テレビの伝える日本・外国イメージについて、以下の2つの特徴が見られる。まず、ニュース番組では、諸外国に関する報道内容が客観報道を中心としているが、靖国神社参拝問題を中心に、日本に批判的な報道が少なくない。一方、報道特集などの番組で、歴史認識問題など日本に批判的な内容が大きく減り、日本人を肯定的に取り上げる番組やドラマが多く放送されている。
中国テレビが伝わる日本情報の最大の問題点が、日本の現実社会を反映する内容が少ない。登場する日本人が、一部の政治家と旧日本軍などに限られ、普通の日本人や生活様子を反映する番組が非常にまれである。それによって、人々の対日イメージの形成において、どうしても偏りが生じやすい。日本から輸入するドラマや番組の増加が、これらの問題の是正に役に立つものと思われる。
反日デモ以降から、中国政府が、メディアに対して、日本に関する報道姿勢の是正を指導した。これは、中国のテレビの伝える日本情報・イメージについて、どのような影響を与えたのか、また、中国のテレビの伝える日本イメージが、他の国々のイメージと比較して、どのような特徴を持っているのか、本文は2006年1月から8月までの間に、中国中央テレビ(CCTV)の関連番組に対する内容分析に基づいて明らかにしようとする。
一、「新聞聯播」(National News)の国際報道
CCTVの「新聞聯播」(National News、毎日19:00-19:30放送)が中国で最も影響力のあるニュース番組である。
2006年1-8月の8ヶ月間、「新聞聯播」が放映した国際ニュースが合計1720本である。そのうち、アメリカに関するニュースが最も多く、162本に達し、国際報道の1割近くを占めている。次はロシアの124本で、日本は68本で、3番目である。続いて、ドイツ、イギリス、韓国、フランスの順である。
図1 国際報道のなかの上位7カ国の報道本数
月別に見てみると、日本の場合、1月、4月、8月の報道本数が10本を越えたが、それ以外は、月5本前後が多い。これは例年並の数字である。
表1 月別の報道本数
各国の報道内容を大きく「国内関連」と「国際関連」の2種類に分けてみて見ると、アメリカと日本の場合、いずれも「国内関連」報道の比率が「国際関連」報道より1割多くなるが、ロシアの場合、「国際関連」報道の比率は7割に達し、圧倒的に多い。
図2 アメリカ、ロシア、日本に関する報道の内容構成
アメリカの「国内関連」報道のなか、スペースシャトルに関する報道が11本、テロ問題6本、「ブッシュ米大統領が国家安全保障局(NSA)による裁判所の令状なしの国内盗聴を認めた問題が5本である。それ以外に、自然災害、企業関連報道、市場動向、科学技術などさまざまである。日本の「国内関連」報道について、アニメ国際展示会、オーム真理教、新型ロボット、電車事故、地震予告システムなどである。
「国際報道」について、さらに、「中国関連」の報道と「中国以外の国」に関連する報道を分けてみると、ロシアの場合、中国との政治交流などに関する報道の比率が最も高く、4割を超えている。その背景に、今年が中ロ友好交流年で、イベントや指導者相互訪問が多いことがある。
アメリカの場合、中国関連報道が2割で、そのうち、胡濤訪米に関する報道が12本に達している。日本報道のなかで、中国との交流に関す報道が10本程度で、全体15%を占め、アメリカやロシアと比べれば、その比率が最も低い。これは、首脳外交が中断した両国関係の厳しい現状を反映したものである。
表2 中日政治交流に関する主要報道
中国以外の国との外交に関連する報道の比率について、3各国はともに2割台である。アメリカの場合、15本の報道がイラク問題をめぐるものである。ロシアの場合、ウクライナとの間に天然ガスをめぐる摩擦に関する報道が6本に達している。日本の場合、韓国との間に竹島(独島)問題をめぐる摩擦に関する報道が5本に達し、最も多い。
各国に対する報道姿勢について、基本的には客観報道が中心だが、日本の場合、小泉首相が靖国神社参拝を中心とする歴史認識問題に関する報道は、合計14本に達し、そのうち、10本が8月に小泉首相が6回目の靖国参拝した前後に集中した。これらの報道の多くが日本に対して批判的である。
二、報道特集・ドキュメンタリー番組
2006年1-8月の間に、CCTVの主要報道番組(「焦点訪談」、「新聞会客庁」、「面対面」、「国際観察」)で放送された外国関連の特集が合計24回で、そのうち、アメリカ関連は7回、最も多い。次はロシアの4回で、日本とイランはともに2回である。そのほかに、イギリス、イスラエル、タイ、イタリア、インドネシア、ベトナム、エジプトなどはいずれも1回である。
日本に関する特集は、3月30日の「面対面」に放送された「中国侵略の日本兵士―本多利太郎」と6月27の「新聞会客庁」に放送された「日本前首相村山富市インタビュー」の二つであるが、いずれも歴史問題に焦点を当てるテーマである。
昨年の1-6月の間に、CCTVが日本関連特集を10回ほど放送した。そのうち、5回が日本の歴史認識問題に関連する内容で、それ以外に、中日関係関連2回、文化交流は1回、日韓領土問題が1回である。2006年にはいってから、CCTVの特集番組で日本問題が大きな焦点ではなくなることがわかる。
一方、CCTVの「人物」というドキュメンタリー番組で、日本人を主人公として描写するドキュメンタリーが放送されした。そのほとんどは日本からの輸入番組であるが、日本人を描いたドキュメンタリー番組はこれほど集中的に放送されたことは、中国のテレビの歴史上ではじめてのことである。
「人物」が2006年10月3日1-8月の間に、外国人を主人公とする番組を42本放送した。そのうち、日本とイギリスの番組は最も多く、ともに11回であった。次はアメリカの9回で、韓国とイタリアは、それぞれ4回と2回である。
日本関連の番組のなか、「著名な映画監督―小津安二郎」など文化人をとりあげた例もあるが、その中心になったには、NHKの「プロジェクトX」の番組で、合計8本である。
表2 「人物」に放送された「プロジェクトX」番組
「プロジェクトX」番組が中国で放送されることが、中国人の日本・日本人理解に有益な情報を提供した。それが実現した背景に、中国側の意向もあるが、経済広報センター(KKC)をはじめとする日本側が積極的に支援したことがある。
「人物」で放送された外国の番組のなか、日本以外に、イギリスとアメリカのものも少なくない。イギリスの場合、「イギリスで人気モデル – Kate・Moss」「イギリス調理業界で最も眩しいアイドル – Jamie・Oliver」「美人グルメ」「イングランドチームのキャプテン – Beckham・David」「イングランドチームの監督 – Sven・Goran・Eriksson」「Mr.Bean – Rowan・Atkinson」「イギリスのインテリ映画監督 – Ken・Loach」「イギリスのハーフバック映画監督 – Peper・Greenaway」「踊り人生-Marion・Brown」「“脳マジシャン” – Tony・Buzan」「ラテン踊りの名人 – Marion・Bromn」など合計11本の番組が放送された。
アメリカの場合、「世界で有名な俳優 – Johnny・Depp」「ハリウッド俳優 – Angelina・Jolie」「007の父 – Ian・Fleming」「Googleの創始者 – Sergey・BrinとLarry・Page」「女権主義者 – Eve・Ensler」「米国伝奇的なボス – Howard・Hughes」「スーパーマン – Christopher・Reeve」「米国映画業界名人 – Robert・Redford」など合計8本である。
日本の番組は企業人が中心でるのに対し、イギリスとアメリカの番組は、芸能人と有名人が多い。
三、外国のテレビドラマ
20世紀の80年代と90年代に、中国で2回日本のドラマブームがあった。1回目では、「赤いシリーズ」(山口百恵が出演)と「おしん」などが中国で国民的人気を得た。2回目では、「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」「ひとつ屋根の下」などが、若者を中心に、高い人気を得た。
21世紀に入ってから、話題になった日本のドラマがほとんどなかった。むしろ、韓国のドラマが絶大の人気を得て、いわゆる「韓流ブーム」が続いた。
2006年に入ってから、この状況は少し変わった。3月18日に、フジテレビのドラマ「白い巨塔」がCCTVによって放送されはじめた。このドラマは山崎豊子の原作で、唐沢寿明、江口洋介、黒木瞳、矢田亜希子、水野真紀、伊藤英明、石坂浩二など有名な俳優が出演したものである。放送されてから人気が急速に高まり、全国視聴率は4%近くに達し、同じ放送時間帯のトップとなった。その成功を受けて、テレビ関係者から、今後さらに多くの日本ドラマを導入すると言われた。同じ時期に、湖南テレビが「おしん」を再編集・放送し、これも大きな成功を収めた。これから三回目の日本ドラマブームが起きると関係者が予測している。
「白い巨塔」のほか、CCTVのドラマチャンネルが2006年1-8月の間に、「ムコ殿」「クロサギ」「トップキャスター」「砂の器」「真夏のクリスマス」「鬼嫁日記」「富豪刑事デラックス」「夫婦」「結婚できない男」など17種類の日本ドラマを放映した。 CCTVのドラマチャンネルが1999年5月3日から放送を開始したのであるが、放映したドラマのなか、国産ドラマ、海外から輸入するドラマがほぼ半々である。統計した結果、2006年1-8月に放映したドラマは合計204種類で、そのうち、中国製が105種類、外国製が99種類である。
外国のドラマの中、韓国ドラマが31種類で、最も多い。かつての勢いがなくなったが、「韓流」人気が依然として健在していることが伺える。日本は18種類で、第2位である。アメリカは17種類で3番目である。この3カ国の作品だけは外国のドラマの3分の2を占める。
四、まとめ
以上の考察から、中国テレビの伝える日本・外国イメージについて、以下の2つの特徴が見られる。まず、ニュース番組では、諸外国に関する報道内容が客観報道を中心としているが、靖国神社参拝問題を中心に、日本に批判的な報道が少なくない。一方、報道特集などの番組で、歴史認識問題など日本に批判的な内容が大きく減り、日本人を肯定的に取り上げる番組やドラマが多く放送されている。
中国テレビが伝わる日本情報の最大の問題点が、日本の現実社会を反映する内容が少ない。登場する日本人が、一部の政治家と旧日本軍などに限られ、普通の日本人や生活様子を反映する番組が非常にまれである。それによって、人々の対日イメージの形成において、どうしても偏りが生じやすい。日本から輸入するドラマや番組の増加が、これらの問題の是正に役に立つものと思われる。
劉 志明
中国社会科学院メディア調査センター 教授・主任研究員
1962年生まれ。1986年中国人民大学修士課程修了。 中国社会科学院教授・主任研究員。専攻はマスコミュニケーション論。中国人民大学講師、神戸大学助教授を歴任。1998年から現職。著書は「テレビ学原理」(1993年)、「中国マスメディアと日本イメージ」(1998年)など。